上田浩之のインドネシア奮闘記ブログ

インドネシア スラウェシ島 バンタエン という周りに日本人がいない地で生徒17人への自動車専門技術、ソフトスキルの教育を行い日本でも通用する自動車エンジニアに育つまでを綴ったブログ

最後の活動報告



今回で最終の活動報告になります

インドネシアのバンタエン県職業訓練校でのプロジェクトが終了しました。

そして、本日めちゃくちゃ久しぶりに日本に帰国しました。
イムリーな活動の記録としては、これが最後になると思います。
 
この経験はたくさんの方々のおかげで得れたことだと思います。
本当にありがとうございました!!
 
とても長い文章になりますが、2年間の僕の頭の中を書き綴ってみました。
ぜひ一読して頂けたらとおもいます。
 
振り返ればこの2年間は本当にあっという間でした。
2016年7月から2018年6月までインドネシアのバンタエン県の職業訓練校での、インストラクターをさせて頂きました。
振り返ってみると本当にたくさんの出来事がありました。
スタート時から現在までで印象に残ったことを少しずつ振り返ってみたいと思います。
 
スタート時に学校に入った時に、初めに感じたことは学校内汚っと思いました。
初めての授業を実施した時、生徒達の授業を聞く態度は最悪で、ガムを噛みながら授業をしたり、イヤホンをつけて音楽を聴いていたり、携帯でゲームをしたり、授業の途中に急にタバコを吸いにいったりと荒れた状態でした。
 
私が行なった問題解決方法です。
まずは学校内にどのような問題があるのか?大きな問題から小さな問題までを全て書き出しました。
その問題を、早急に改善が必要なのか、長期的に改善が必要なのかという項目に分けて、優先順位を決めていくことをしました。
そして、その優先順位にそって問題を解決していくようにしました。
問題を解決をするにあたって、その問題のどこに問題があるのか?を検討しました。
この問題は生徒の問題なのか? 学校のインストラクターの問題なのか? それとも学校の仕組み自体に問題があるのか?
そして、特定した問題について、なぜその問題が発生しているのか? をなぜ?なぜ?なぜ? と考えて問題の分析をし、問題の真因を特定します。
問題の真因が特定出来たら、その真因を解決する為の解決策を考えます。
その解決策を実施する事で、問題の真因はクリアになるのか?
真因がクリアになる事で、発生していた問題は解決にいたるのか?
を検討します。
その解決策ができたら、具体的な行動計画を検討します。
いつまでに、なにを、どうするのか。
その計画にそって行動をします。
行動を実行して終わりではありません。
ここから非常に重要です。
その実行をした後のチェックを行います。
その解決策がうまくいったのか?逆にうまくいっていないのか?
の結果とプロセスのチェックを行います。
うまくいっていないのであれば、そのどこに問題がったのか?どうすればうまくいくのか?を検討し、うまくいっているのであれば、うまくいっている要因はどこにあるのか?更によくなる為にはどうすればよいのか?と、うまくいっている場合にも考えることによって、次に同じような問題が発生したときに、非常に効率的に問題を解決することが可能になります。
 
基本的な考え方は以上のような考え方で、この2年間のさまざまな問題を解決してきました。
学校内汚い問題については、生徒、マネージメントの5Sに関する意識の向上が必要だと思いましたので、毎朝朝礼後の5分間清掃をスタートしました。生徒だけでなく、マネージメントや校長先生も一緒に行うことで、自分がポイ捨てしたゴミは結局自分が拾わないといけない。それだったら、ゴミ箱にすてようと自分で考えられるような仕組みを作りました。
 
教室内の態度が悪い問題については、学校内、教室内の問題があるところを、グループに別れて見つけようという、ゲーム感覚で次々と自分達自身で問題を発見しました。
そして、自分達が発見した問題から、どうやって解決していくのか?具体的な行動計画に落とし込み、グループ毎にプレゼンテーションを実施しました。
そのようにして、私から指示するのではなく、自分達で決めた計画は、自分達で守ろうよ。という、仕組みを作りました。
そのは問題対処ではなくて、問題を解決できるような人間、つまりは自主性を持った人間に育って欲しいというのが目的になっています。
 
そのように、優先順位にそって一つ一つ問題を解決していきました。
1学期(6ヶ月)が終了する頃には、学校もきれいになり、生徒の授業態度も良くなり、異常と思われていた、問題はほぼ解決されていました。
2学期に入ってからは、正常な状態に戻ったことをあるべき姿に継続する仕組みや、更に学校や自動車科をよくする為の目標を設定しました。
授業開始時間を守れるようになっていたので、次の目標は開始3分前には集合場所に到着できるようにはどうすれば良いのか?
1学期目でゴミをポイ捨てしなくなっていたらので、では、落ちているゴミを拾えるような人間になるにはどうすればよいのか?を検討して、学校内でけではなく、月一回の地域清掃を地域住民や小学校、中学校の生徒と一緒に行い掃除を行うことの意味、やりがいを自ら見つけれるようにもしました。
 
3学期では、自動車科の学級経営に関する事についての問題を解決することに取り組みました。
このプロジェクトが終了した後の、インストラクター候補の育成という、非常に重要な目標がありますので、その問題の解決に取り組みました。
学級経営をするにあたって、インストラクターとして行うべき事を全て視える化しました。
スケジュールの作成、授業資料作成、授業準備、試験の実施などについてがそうで、今までなにが出来ていて、何が出来ていないのかを明確にしました。
それぞれのインストラクター候補のやるべき事が明確になっていても、初めは誰もやろうとは思いませんでした。
それはなぜなのか?
インストラクター候補が、今それを行う事の重要性を理解でいていないという原因がありました。
一人一人とコミュニケーションや面談をしながら、学級経営を自分達で行う重要性を伝えていきました。そして、必ず責任をもってやるということのコミットメントを生徒達の前で行ってもらいました。
本気で自分達が与えられた役割をこなしていくまでには、時間がかかりましたが、このスタートは誰かにやらせれてスタートしたわけでなく、自分達が重要だと思ってスタートしたことなので、同じことをやるとしても、そこにはとても大きな違いがでてきます。
 
4学期では、更に実践的になるように、自動車科の組織図を新たに作成しました。
3学期までは、問題が発生した時や、なにかを実行する時には、私から直接生徒達やインストラクターに伝えてましたが、新しい組織図では、改善オーナーという自動車科をコントロールする、リーダーを作成しました。
改善オーナーの下には、3グループを作成し、各グループに小リーダーを作成しました。
改善オーナーから下のグループに伝えたい時には、各グループリーダーに伝え、各グループリーダーから生徒達に伝えるという組織を作りました。
私は気づいた問題についてや、伝えたいことは、直接生徒には伝えずに、密に改善オーナーと連携をとって、改善オーナーから発信するような、仕組みにしました。
私は改善オーナーにアドバイスを実施するアドバイザーという立場にしました。
この組織図は、このプロジェクトが終了しても、同じようなクオリティで続けれるようになる為の実践的なトレーニングでした。
当然様々な問題が発生しましたが、インストラクター同士で問題を解決していくように促し、私は極力口をださないようにしました。
 
まだまだ、ここには書き切ることができないような色々なことが発生しました。
発生した全ての問題について、逃げずに、しっかりと自分事として受け止めて、正しいプロセスで解決していった結果、この2年間で自動車科の生徒達はとても立派に成長しました。
自動車の整備技術はもちろん、自分達で問題解決をする力を身につけ、それをチームとして発揮する。そのような生徒とインストラクターが育ったのではないかと思います。
 
先日、ハジカラトヨタ南スラウェシ州トヨタディーラー)の試験も全て終えて、1年間の契約期間付きですが、ハジカラトヨタに全員入社する事が決定しました。
1年後に社員として就職できるかどうか、後は本人達次第になってきます。
全員が目標としていたエンジニアとしてスタートできる事がとても嬉しく思います。
 
この2年間は私にとっても、本当に本当に貴重な経験になりました。
大げさかもしれませんが、自分自身が生きていく役割や意味を見つけることができました。
人とのコミュニケーションや、チームワークの大切さや、折れない心や、粘り強さなどを身につけることができたのではないかと思います。
 
ドラゴンクエストで例えると、ラスボスを倒す(目標を達成する)為に、チームを集めチームワークを発揮して、色々な敵を倒し(学校で発生した様々な問題をクリアし)経験値を得て、レベルアップする。そして、ボスを倒す(目標を達成する)事ができたのではないかと思います。
ただ、このロールプレイングゲームはスタートしたばかりで、ようやく第一面がクリアできた状態です。ここから先はインストラクターやエンジニアになった生徒、新しく入ってきた二期生達それぞれが、それぞれのロールプレイングの主人公です。
このロールプレイングはゲームと違い、リセットをしたりゲームを戻したりすることができません。
そして、時間という制限があります。
一度しかない人生なので、この2年間で学んだことをしっかりと活かして、有意義な人生を送って欲しいと思います。
 
先日帰国の際に、生徒達が空港まで見送りに来てくれました。
最後に2年間本当にありがとうね!っと一人一人に伝えていきました。
きっとまた会えるはずなのに、今までの生徒達と一緒に悩んだり、アホみたいなことをして一緒に笑ったことなど、様々なことが一瞬にして溢れてきて、涙がとまりませんでした。
今もこの2年のことを考える涙がでてきてしまいます。
でもそれは悲しい別れの涙ではなくて、なにか希望に満ち溢れた涙のように思います。
 
人生という長いようで短い一人一人別々のものさしの一部が重なり合って、この2年間という時間を共に過ごしてきました。
この経験と共に学んだ仲間達は私にとって一生の宝物です。
この経験はたくさんの方々のおかげで得れたことだと思います。
 
本当にありがとうございました!!