上田浩之のインドネシア奮闘記ブログ

インドネシア スラウェシ島 バンタエン という周りに日本人がいない地で生徒17人への自動車専門技術、ソフトスキルの教育を行い日本でも通用する自動車エンジニアに育つまでを綴ったブログ

日本では考えられない「斬新な消し方」


この職業訓練校での2年間は自動車だけじゃなくて、一般教養も教えている。
日本語、英語、ソフトスキル(考え方)、数学、そして「クルジャバンク」。
最後の「クルジャバンク」ってゆうのは、日本ではたぶんないとは思うけど、
インドネシア職業訓練校では当たり前のようにある。
基本的な工具の使い方を習得しながら、工作物を作成するという練習だ
やすりがけ、ボール盤の使い方、ノギスなど計測器具の使い方などはここで習得する
トータルでゆうと約1ヶ月間やすりで削りまくる
学校の考えでは、この「クルジャバンク」で忍耐力、我慢強さを身につける事ができるとゆう
インドネシア人は忍耐力や我慢強さが足りない人が多い
基本的に暖かい国の人はそのような人が多いように感じる
どっかのHPでみたのだが、日本は四季があり、そして冬は必ずやってくる
その冬は本当に寒いので、それを乗り越える為には我慢強さが必要だから、
仕事やなんでも我慢強さが必然的に身についたってゆうのを見た事がある
なんとなく、合ってるような気がする
なんどもゆう。
本当に我慢強さがない。
我慢強さを教える為には、こちらがもっと我慢強く、粘り強く同じ事を言い続ける必要がある。
先日、工場に直接座ってはいけないとゆう事をおしえた
日本では3回くらい言えば生徒はその通りするだろう
でもここは多分50回〜100回は言っている。・・・辛抱強く頑張るしかない

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先日「クルジャバンク」の授業が最終段階に達した
鉄を切ったり、やすりをかけたり、穴を開けたりしながら、最終的には小さな車を仕上げる
その最終段階で日本人の考えなら、うそやろっていう事があった
最終塗装の段階でスプレーで塗装をする
みんな生徒それぞれ好きな色で作成した車に色を塗っていく
緑の車やピンクの車などのカラフルな車がある
そこでピンクで塗装をしていた生徒Aがいた
Aはちょっと自己中で自分の考え方は曲げない、でも人懐っこいタイプの生徒だ
そのAが最終塗装をする段階で面白い事が起きた
もちろん塗装する場所ってゆうのはないので、それぞれ思い思いの場所で缶スプレーで塗装をする
塗装の下に敷くような新聞などはないので、石や砂を上手に使って塗装が他の場所に移らないように工夫したり
様々の方法で塗装をしている。
そのAが塗装した場所は
いつも通学で投稿している、セメントで固められた排水溝
ゆうなれば、相当目立つところにバッチリピンクでそして広範囲に塗られていた
この時私は別の授業の準備をしていて、その場にいなかった
塗装をしている時、他の生徒たちは全力でとめたそうだ
ここで塗ったら、ヒロさんに絶対後で叱られるからやめとけって
でも、Aは塗り続けた
最後までAは塗り続けた
Aの意思はとてもかたかった
そして、一面ピンクに染められた
私が仕事が終わってその道を通りかかった
100%その一面ピンクに気づく
はい。みんな集合!!

私:これだけがやったん?
A:私です
私:なんでここでやったん?
A:他にやるとこなかったんで
私:ここでやったらピンクになる事ない?
A:でも他にできるところがなかったんです。
私:心の中(どこでもあるやん)
私:今日中にきれいに消しっとって
A:どうやって消せばいいんですか?
私:そんな自分で考えろ
A:それじゃ消す事はできません
私:そんなのしらんけん、今日中に消しとけ
A:無言

その夜
Aはガソリンを使って夜な夜なゴシゴシ消していた。
それを見てみぬふりをする私
翌朝
その通学路を通った時
全く消えてない・・・・・
これはちょっと受ける(笑)

Aを呼び出す
私:これ全然消えてないやん
A:昨日の夜ガソリンを使ってやっても全然きえなかったんです。
私:じゃ、違う方法で消しとけ
A:でも、どうやれば
私:そんなんしらん。自分でやったんやけん自分で考えろ
A:わかりました。
私:いつまでに?
A:それはまだわからないです。
私:いつ?いつ?いつ?いつ?いつ?いつ?(ちょっとキレ気味に追い込む)
A:じゃ、今日中に・・・
そしてその日の夕方。
そのピンクの周りでなにかを塗り塗りしている姿が
私:なにしよるん?
A:消してます
私:どうやって?
A:セメントで上から塗り固めてます
私:(心の中)斬新な消し方やな
私:よし、じゃおれも手伝うわ!!
A:ダメです。私がやったので、私の責任ですので、全て私がやるべきです!!
私:よし!頑張れ!!
私:(心の中)この急に責任感がでたのはなんでやねん!初めからそこで塗らんかったらいいのにと思う

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その結果
結構きれいに仕上がった

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こちらでの指導方法が少しずつ定まってきた。
なにか間違いが起きたらまず、全員集合させる
誰がしたのかを追求する
そこでなぜそうしたのかを追求する
どうしたらいいのか?
いつまでにどうするのか?
その場で追求しまくる。
結果。
間違いが起こると、この流れになるので、生徒にとってはかなり面倒くさい
面倒くさいのは嫌だから、間違いが起きる前に少し後の事まで想定して考えるようになる
怒られずによくなる
私がそれに気づく
褒める
生徒喜ぶ
継続できるようになる
みたいな感じかな。
インドネシアは面白い。