上田浩之のインドネシア奮闘記ブログ

インドネシア スラウェシ島 バンタエン という周りに日本人がいない地で生徒17人への自動車専門技術、ソフトスキルの教育を行い日本でも通用する自動車エンジニアに育つまでを綴ったブログ

2016年11月 活動記録

少しずつ授業の内容も自動車課らしく、専門的な内容が多くなってきました。

授業の内容が専門的になっていくと同時に以前にもまして生徒達にも自覚が出てくるようになってきました。

 

「先生、たくさん勉強をして日本での研修生として選ばれるようになりたいです。

もしそれが叶わなくても、今以上に勉強を頑張ってハジカラトヨタに入り、立派なエンジニアになりたいです。」

 

数日前、こんな事を言ってくる生徒がいました。

 

この生徒はAさんとゆうのですが、入学した生徒の中では頭はいい方なのですが、自己中心的な性格で、Aさんが確実に間違えているのに何かにつけていいわけをして、自分は悪くないといい張るようなタイプです。

先日は昼からの授業をAさんだけ遅刻してきました。10分程の遅刻ですが、

何かと言い訳ばかりをして謝ろうとはしません。

そこで、私は彼に伝えました。

「今後間違えた事があったら言い訳はしないで、間違った事に対して素直に反省をして下さい。そして、今後同じ間違いをしない為には、どうすればいいかを考えた方が、言い訳ばかりするよりも沢山成長する事が出来ると思いますよ」

 

時には日本では当たり前の仕事の仕方が、インドネシアでは手本になる事があるように思います。

 

朝礼の際には、一人一人考え方の本を読み、感想を発表するようにしました。

新しい課の生徒が入ってきた時には、新入生に対して自動車課の生徒が5分程、先輩としての経験を話すようにもなりました。

掃除や時間を守る事の大切さ、決められたルールを守る大切さを伝えました。

 

そのような積み重ねによって少しずつ、Aさんや、生徒全員の勉強に対する取り組み方も変わってきました。

今までは、こちらからこのようにやって欲しいとゆう発言が多かったのですが、最近では生徒達からのこうしたいとゆう発言が多くなってきました。

 

「ひろさん、このSST置き場が整頓されていないと思うので整頓してもいいですか?計画として具体的にまずは必要な物と必要でない物を分けようと思います。それぞれ、エンジンやシャシー、電装関係毎に分け、どこに何があるかを明確になるように名前をつけようと思います。」

 

「ひろさん、工場のそれぞれの部屋の名前が明確になっていないので、それぞれ部屋の名前を貼るようにしてもいいですか?」

 

「トイレ掃除のチェック表を作ろうと考えています。このような方法でいいですか?」

 

など、少しずつですが自分達が考えて行動が出来るようになってきました。

休みの日も惜しまず、工場に出てきては少しずつ改善を行うようになりました。

まだまだ寮や工場などで気になる所はたくさんありますが、少しずつ改善を行っていきたいと思います。

 

朝礼と終礼の方法も変更しました。

自動車課での朝礼方法を愛媛トヨタで行っているような、円になっての朝礼をするようにしました。

以前は私だけ前に出て、生徒達は縦横に整列するような方法でしたが、円になる事で全員の顔を見ながら話をする事ができます。

それにより、生徒達の報告事項、現在このような問題があります。今日の授業ではこうでした。など意見交換での発言が多くなりました。

朝礼の際には、本気の声で「今日も1日頑張りましょう!!」とゆう言葉でスタートするようにしました。

毎朝かなり気合いの入った挨拶になっていますので、一度朝礼の所を見に来て欲しいくらいです。

 

自動車課での授業については、電子理論の学科と実技を行っています。

インドネシア職業訓練校は3ヶ月コースのみなので、電子理論とゆう授業はありません。電装関係の直接実技になります。

今回初めてインドネシアでの2年コースの実施なので、今までインドネシア職業訓練校と比べると、広く深く勉強する事になります。

電子理論の学科では、電圧、電気、抵抗とオームの法則の計算問題を行いました。実技では電気の流れと、電気パネルを4グループでそれぞれ作成しました。

木の板から作成した手作りです。電気パネルにトラブルを入れてのトラブルシューティング。そして、研修車両を使用して、ホーンが鳴らないとゆう現象に対してのトラブルシュートを行いました。2年後の卒業をした後、即戦力になるような人材に育てるためにも、なるべく実車を使用した研修を行うようにしています。

生徒達も実際に身につけた知識や技術で、実車を使っての鳴らないホーンを修理するとゆう事がとても嬉しいようで、楽しんで勉強をしていました。

 

この後は電装部品の授業を行います。

バッテリー、スターター、コンビネーションメーター、配線図の詳しい読み方を行うような授業計画にしています。

少しずつ生徒達の中でも、出来る生徒ともうちょっと頑張らないといけない生徒が分かれてきました。

土曜日は希望者で、復習や次の科目の予習を行う時間を設けるようにしました。

参加する生徒はまだまだ少ないので、率先して参加するように生徒達のモチベーションを上げていこうと思います。

 

今までは基本一人で授業や計画、その他一人で進めていく事が多かったのですが、本当にありがたい事にハジカラトヨタからのスタッフの協力を頂けるようになりました。先日は愛媛トヨタでの研修経験のある、サムスル、そしてフィアンがサポートとして学校に来てくれました。

サポートとしては、授業、資料作成、ハジカラトヨタでの経験、どんな人材が必要とされているかなどの、講話をお願いしています。

自分達が目標としているディーラーの、第一線で仕事をしているスタッフの話しはとても刺激があるようで、真剣に話を聞いていました。

これで、ようやく生徒達に出来る事のバリエーションが増えるので、とても嬉しく思います。

 

先日はレクレーションとして生徒達と焼肉パーティーをしました。

インドネシアでは牛肉は基本的にスープにする事がほとんどで、牛肉を薄く切ってそのまま焼いて食べるとゆうのは初めての体験だったようで、食べる前は色々文句を言われました。

「せっかくの牛肉なのに、焼いたらもったいない。明日はお腹こわすな。塩、胡椒で食べてもきっと美味しくない。この黒いソースを付けてたべるのか?野菜もそのまま焼いて食べるの?もったいない。」

など食べる前には不評でした。

焼肉のタレは日本から持ってきた醤油がベースで、上田特製の焼肉のタレを作りました。唐辛子とニンニクを刻んで辛くしたタレです。

でき上がった焼肉を食べてみると、

「こんな食べ方初めてだけど、めちゃくちゃうまいでこれ!この黒いタレ美味しい!野菜を焼いて食べるのも美味しい!」

など、大好評でした。

ご飯も特製焼きおにぎりを握りました。炊けている米をさらに焼く事にとても違和感があったようですが大好評でした。

 

食とゆうのはとても大切です。食を通じて日本の食文化を知り、更に日本に興味を持って頂けたらと思っています。

次回は鍋パーティーを計画しています。どんな反応をするのか、とても楽しみです。

 

この1ヶ月も、とても充実した濃い内容だったと思います。

当初はこのプロジェクトで自分自身の経験値を上げるとゆう事を考えていました。

しかし、現在一番のやりがいとしてあるのが、初めは言われた事しかしなかった生徒達が、自ら考え、自ら行動を起こすようになってきた事です。そして、指導の仕方によって顕著にその変化が現れます。その変化をみるのが自分のやりがいになっているように思います。

今後も生徒達がどうすれば、楽しく、自主性を持って学ぶ事が出来るかを考えていこうと思います。