上田浩之のインドネシア奮闘記ブログ

インドネシア スラウェシ島 バンタエン という周りに日本人がいない地で生徒17人への自動車専門技術、ソフトスキルの教育を行い日本でも通用する自動車エンジニアに育つまでを綴ったブログ

手作りの大切さ

10月18日 手作りの大切さ

ウリパのスタッフと一緒に仕事をして、いつも感じる事がある。
それは物を大事にするという事。
例えば、長年使っている工具を使う為のキャディー
長い間使っていると、少しずつ錆びてくる。移動する為のローラーもだんだん劣化してくる。 そうすると、錆びている所がより広がり悪化してくる。
だから、修理をする。
新しく色を塗り、新しくローラーを交換する。いつも感心するのだが、出来栄えがきれいで、まさにプロフェッショナル! それもいつも修理をして使っているからだと思う。
  
先日は車の下周りを点検する為の寝板(こちらではクレーターティドゥールという)を作っていた。ここウリパでは、エンジニアの人数に比べて、車を上げる為のリフトの数がすくない。
なので、車を上げるのにも、いつもジャッキを使用する為、下周りの点検の際には必ずクレーターティドゥールが必要なのだ。
そのクレーターティドゥールを作っていた。日本にもそれはあるのだが、全て購入した物で、今までそれは作るという考えは一切なかった。 実際に出来上がった物を見てみると、厚めの板にローラーを取り付けただけという、簡単な物だが、シンプルな構造なのでとても丈夫である。
ウリパでの仕事も3ヶ月が経ち、今まで当たり前に考えていた事が、ことごとく覆えされていく。 なんでも買えばいいという事ではなく、自分達で修理が出来る物は修理をし、自分達で作ることが出来る物は作る。そうする事により、お金もあまりかからないし、物を大事にするという気持ちが一層強くなるような気がした。

最近の仕事では、トラックがオーバーヒートをした。オーバーヒートはエンジンの不具合により、エンジンの温度が上がりすぎるという現象で、そのまま乗り続けると、車が走る事が出来なくなってしまう。
そのオーバーヒートの原因である、シリンダーヘッドのガスケットを交換した。
私はエンジニアと一緒に作業をした。

日本では、特殊な工具が沢山ある。ネジなどを緩める為の長いラチェットや他にも沢山。
しかし、ここではそのような物はない。全て、純正工具だけなのだ。 
その純正工具の組み合わせや、手作り工具などを使って、とても上手に部品を次々と外していく。 その外した部品は、前回私が作ったネジ入れに入れられた。
今までは、ほとんどのネジが一箇所に入れられるので、後で探すのが大変だが、ここのエンジニアにもこれは本当にいいと、言ってくれている。 
一緒に取り外したシリンダーヘッドのオーバーホール
石鹸を使いとても綺麗に洗った。 そして、オイルのシールを交換した。
全て、作業も完了しエンジンをかけ、高速道路を走行テストした。
走行テストも問題なく完了! そして、エンジニアとはいつものようにハイタッチをした。
エンジニアにとって、このトラブルであった車が綺麗に治ったという事は、達成感をとても感じる。 それは、日本もインドネシアでもなんら変わりはないと感じた。

今は、サービスフロントで、一緒に仕事をしている。先日はインドネシア語でカルテも作成した。まだまだ、日本とはシステムが違う所が沢山あるので、共に学んで、指導できる所は指導していきたい。



ひろの道
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