上田浩之のインドネシア奮闘記ブログ

インドネシア スラウェシ島 バンタエン という周りに日本人がいない地で生徒17人への自動車専門技術、ソフトスキルの教育を行い日本でも通用する自動車エンジニアに育つまでを綴ったブログ

トヨタでの現場研修では、良かった事もあったし、残念な事もあった。


2017 年 8 月 8月はハジカラトヨタで1カ月間のインターシップを行いました。
このイン ターシップはより実践に近い勉強となります。
研修場所はマカッサルが3店舗、 マカッサルから車で1時間ほどかかる場所にあるマロスの店舗、マカッサルか ら北東に車で山道を約4時間進んだところにあるボネの店舗、バンタエンの隣 にあるブルクンバの店舗の計6店舗に16名の生徒がそれぞれ分かれて研修を 行います。
今回のインターシップを通して生徒達にただインターシップで技術の研修を するだけではなく、実践を通して自分自身の改善を行うように課題を出しまし た。
そして、研修最終日には、各店舗で1ヶ月間の活動報告とPDCAのプレゼンを、 そしてハジカラトヨタ本部の前でプレゼンを実施するようにしました。
この1ヶ月間のインターシップはより実践に近い訓練となります。
私自身の 気持ちとしては、今まで1年間のソフトスキルの授業も踏まえて、しっかりと 1ヶ月間取り組んで欲しいと言う気持ちがありました。
インターシップは今回が初めてです。
生徒達の実践練習による勉強という意 外にも、ハジカラトヨタにBLKの生徒達は規律正しくて、自分で自主性を持っ て行動ができる生徒だという事を知ってもらうチャンスだと思っています。
そ うする事ができると、今後のハジカラトヨタからの信頼も得られるのではない かと考えました。
ただ、今まではバンタエンの職業訓練校だけでの授業でしたので、実際どこ まで生徒達ができるのかは正直分かりませんでした。
私自身も各店舗に数回視察に行く予定にしていましたが、いつもずっと見て いるわけにはいきません。
ワッツアップというラインのようなアプリでグループを作成して、毎日のレポ ートをそこにアップさせ、それぞれの店舗での1日の出来事や、反省点、改善 点を全体でシェアできる仕組みにしました。
何か困った事や相談したい事があ った場合は相談できるような仕組みにもしました。
マカッサルに滞在する生徒達とはマカッサルの職業訓練校の寮の隣の部屋でし たので、夜には今日どんな事があったとか、反省する所とか、相談など色々と 聞く事ができました。
その中でほとんどの生徒達が言っていたのが、工場やカラトヨタの店舗のエ ンジニアの改善をした方がいいという内容でした。
店舗のエンジニアは、まず朝礼にいつも遅れてくる。作業にしても、オイルが 溢れてもそのままにする。
リフト設置時の安全確認の不足、お客様のタイヤに 座る、タバコを吸いながら作業をするなど、他にもまだまだ、言い出したらき りがないほどです。
これらは普段からバンタエンの職業訓練校で絶対はしては いけない事としていましたので、学校で学んだ事と実際の現場との違いに非常 に驚いていました。
そうなるだろうと思っていましたが、ここで私が彼らに考えて欲しいのが、 そこで自分が何を感じて、どのような行動をするのか、ということです。
例えば毎朝朝礼に遅れてくる10人のエンジニアがいたとして、その中に1人 インターシップとして入った時に、その10人のエンジニアと同じようになる のか?
それとも自分が正しいと思う行動を一人でも取る事ができるのか。
そう いった事を含め、今回のインターシップを通してどれくらいの生徒が自主性を 持って行動できるのかを知る事ができると思いました。
その結果からインター シップ終了後の授業にも反映させようと考えました。
1年間で基本的なソフトスキルや考え方などは、しっかりと伝えたつもりな ので、考え方は理解していると思います。
残りは彼ら自身がその考えに基づい て、きちんと自主性を持った行動ができるのかがポイントになります。
上からの圧力がなくなっても、そういった行動が出来るようになるために、現 時点で出来る生徒と出来ない生徒をしっかりと把握し、残りの1年間で出来る ようになるまで個別に対応をしていこうと思います。
インターシップが始まってからの店舗視察を行いました。
生徒からのヒアリングや、工場長やリーダーからのヒアリングで、ある一部の 生徒を除いてはほぼ出来ている事が分かりました。
ハジカラトヨタでは、毎朝 8時からの朝礼なのですが、マロスの店舗では生徒が6時には工場に出てきて 毎朝1時間の掃除をしています。
これは私が指示した事などではなくて、自分 自身が考えて行動した結果なので、本当に立派に育ったと思いました。
整備技 術に関しては2年間の授業があるので、もちろん他の職業訓練校の生徒に比べ るとレベルは上になって当然ですが、私が伝えていた自主性とは事はこういう 事でしたので、本当に感動しました。
他の店舗の生徒も5Sに関してはきちんと しますし、時間もしっかりと守る。
安全作業もしっかりと守り素晴らしく成長 したと思います。
ただ課題も見えてきました。問題は一部のインストラクター候補生です。
こ れはインターシップがスタートする前から不安要素の一つでもありました。
家 族がいるから実家の近くのトヨタでないとダメだという理由で、実家から通え るトヨタにしたインストラクター候補生がいました。
不安要素としては元々イ ンストラクターをしていたので、単純に一生懸命しないのではないのか?
と いうことです。
実際にその店舗に視察を行う事を連絡せずに直接行ったのです が、店舗に3名ともいなかったという、出来事がありました。
工場長にもどこ に行ったのか確認をしたのですが、「午前中にはいたんだけど・・・。」とい う反応でした。
いつもはいるとは言っていましたが、実際に視察に行った時に いなかったという事実と、それが工場長に伝わっていないという事実を考える と非常に残念でした。
おそらく本人達にも理由はあるのだと思いますが、結局 のところはそれが事実で結果だと思います。
その後のレポートや、PDCAのパワーポイントなどを見ると、一生懸命やって いたのか、手を抜いていたのかは一目瞭然です。
今回のこの結果から、手が離れた時にどうなるのかが、生徒一人一人を把握 する事が出来たと思います。
11月にはもう一度インターシップがあります。
今回の反省からの得た、11月からの作戦もありますので、インターシップに 参加する全員が自主性を持って、一生懸命するしかないような環境を作って1 1月に行う2回目のインターシップに挑戦したいと思います。
インターシップの終了時には、各店舗にて1ヶ月間の活動報告のプレゼンを 実施しました。
そして、代表者3名が最終日にハジカラトヨタの本部で、ハジ カラトヨタの幹部に1ヶ月間の活動結果をPDCAにして、直接プレゼンを行いま した。
マロス店のウスワと、スルイ店のドディ、アラウディン店のアンディラ の3名です。
それぞれ15分程のプレゼンでした。
改善しないといけないところは沢山あ りましたが、気持ち的なところは伝わったと思うプレゼンでした。
ハジカラトヨタのマネージメントからは
「プレゼン自体は非常にシンプルなも のだけれど、自分自身の改善に取り組んだPDCAで、とても興味を惹かれた。」
と、お褒めの言葉を頂く事が出来ました。
今回の1回目のインターシップでの PDCAは自分自身の改善について取り組んで欲しいと、大題目は伝えていました。
その中で具体的な取り組みは全て本人達に任せていました。
改善で一番難しい のは何か、と聞かれる事があるのですが、今までの短い経験からではあります が、人間の改善が一番難しいのではないのか。
と感じています。
どんなに良いオペレーションやルールがあっても結局それを実行するのは、人 以外の何物でもありません。
ですので、自分自身の改善に取り組んだという事 に対して非常に興味を持って頂けたのではないのかと思います。
今回のインターシップでは良かった点と今後改善すべき点が、はっきりとし ましたので、11月にある2回目のインターシップそして、4名の日本でのイ ンターシップに向けて、私自身もしっかりと反省と改善を行い取り組みたいと 思います。
そして、いよいよ前回の南スラウェシ州の大会で、見事優勝した生徒、イクラ の全国大会の日が近づいてきました。
1ヶ月間のインターシップにも取り組み ながら、全国優勝に向けての練習に取り組んできました。
試験は1セクション 1時間で、4セクションの実技試験になります。
エンジンの計測、エンジン始 動不能、電装関係不具合、ブレーキ関係作業になります。
現在の所はどれもス ムーズにこなせるまでになりました。
もしこの全国大会で優勝をする事が出来 たら、7ヶ月の間ジャカルタでのトレーニングの後、タイでのアジア大会が待 っています。
しかもそれに進めるのはたった一人の優勝者のみです。
ただ実技 だけではなくメンタルも試される試験だと思います。
今では夢にまで試験が出 てくるぐらいになっているので、コンディションはバッチリだと思います。
本 当にひょっとしたら、ひょっとするかもしれません。
9月6日〜9月9日の4 日間で競われる予定になっているので、イクラ以上に私も少しずつドキドキし てきました。
ここに来るまでの過程で本当に一生懸命頑張ってきました。
結果 以上にそこに行くまでの過程の方が大事だと思いますので、本当に褒めてあげ たいと思います。
1年の間でみんなそれぞれ、とても大きく成長をしました。
このように目に 見えてわかる成長があると、教育もやっていて面白いと思います。
生徒達がこ のように成長している姿を見て、自分自身ももっと頑張らないと、という気持 ちにさえなります。
そのようにお互いが刺激しあって、共に成長をしていける 所も教育分野に携わっていて、とても面白いと思えます。じわじわと終わりも 見えてきていますので、このプロジェクトが終わる時には、1人も欠ける事な く17名全員が立派に成長し、就職して一人前になり、そして、この2年間の プロジェクトを自らの力で継続できるようになって欲しいと思います。