上田浩之のインドネシア奮闘記ブログ

インドネシア スラウェシ島 バンタエン という周りに日本人がいない地で生徒17人への自動車専門技術、ソフトスキルの教育を行い日本でも通用する自動車エンジニアに育つまでを綴ったブログ

4月の活動記録


BLK Bantaengに日野さんがやって来てくれました。これから6月までの約2ヶ月間の活動を一緒にする事になります。そして、ハジカラトヨタからもインストラクターとしてBLKに来て頂いています。BLKのインストラクターも、自分達の役割に責任を持って行動ができ始めて来ました。2学期に入りインストラクターに役割を割り振りましたので、出来るだけそれぞれの役割については、口出しをし過ぎないようにして、任せるようにしています。
私は授業を行いながら、先の事を考える余裕も少しずつ出て来ました。今、目の前の事を一所懸命取り組む事は重要な事ですが、少し余力(時間、体力)を残しながら、2歩先、3歩先、そして将来のBLKの計画も立てるようにしています。来年の6月にこのプロジェクトは終了しますが、その後も同じ程のレベルもしくは、それ以上のレベルでこの2年のコースが継続出来るような仕組みをプロジェクト終了までに作りたいと思います
先日ハジカラトヨタの社長や役員の前で、BLK Bantaengの活動のプレゼンテーションを行いました。去年スタートした時は、問題だらけの学生だった事。それをどのように、今のような規律の正しい生徒にしていったのか。自動車授業の現状、そして今後の課題などのプレゼンでした。そのプレゼンの中で、今後のハジカラトヨタが求めている人材は、どのような人材なのかを知る事ができました。一般の整備士はたくさんいますが、5Sができて、規律正しい整備士、また自らリーダーシップを発揮し、困難な問題に取り組めるような整備士は、なかなかいないという事でした。整備の技術ももちろん大事ですが、今後はソフトスキルを併せ持った人材が貴重とされる事をおっしゃっていました。BLKの授業として取り入れている内容、企業が求めている事が一致しているという事がわかりましたので、今後も更に優秀な人材が育つように教育を行っていきたいと思います
そして、待ちに待った日野さんが、愛媛トヨタから BLK Bantaengに来られました。インドネシアと日本では気候、文化、食事、言葉などが大きく異なります。ですので、体力的な負担がとても大きいと思います。初めは言葉の壁があり、コミュニケーションが取りにくい事がありましたが、今では生徒達は日野さん、日野さんと言って、覚えたての日本語を使って質問をしてくるようになりました。授業についてもアドバイスを頂いたり、ソフトスキルの授業でも、このような仕組みがあった方がいいのではないか?と知恵を頂いたりしています。私もとても勉強になる事ばかりです。
今後授業と同時に、4学期に使用するエンジンの設定を入れようと考えています。愛媛トヨタの研修でも使用しているような、ベンチエンジンにスイッチを取り付けて、オン、オフで配線を断線させたり、短絡させたりを行うような設定です。4学期の段階ではそこまでレベルが高い授業を実施する計画にしています。現在は、電装関係の授業を行っています。ヘッドランプ、ウインカーランプ、オルタネーターなどです。授業ではより実践に近いような授業になるように、パソコンを使用して、配線図で電気を追っていったり、不具合を入力してのトラブルシューティングも行ったりしています。みんな楽しんでやっているのはいいのですが、注意をして見ていないと、ジャンクションブロックやパネルなどまでバラバラに分解してしまいます。その度に研修車両も、お客様の車だと思って丁寧に扱ってくださいと注意をします。
休みの日もオルタネーターをもう一度分解したいので工場を使いたいです、と言って練習をしています。インドネシア人は普通であれば、仕事や勉強するより、ゆっくりとのんびりと過ごしたい、という人の方が多いと思います。しかし、BLKの生徒達はこの2年間で出来るだけたくさんの事を学んでやる。という強い意思のもと、自ら計画を立てて実行をする、努力を惜しまないような人間になり始めています。これは非常に嬉しい事です。
それぞれ自主性が身についてきましたので、私はその方向が正しい方向に向くように軌道修正を行いながら、ペースが遅い学生には、背中を押していきたいと考えています。
来月はラマダン(断食)がスタートします。この断食を私は2度経験をしているのですが、正直つらいです。毎朝3時過ぎに起きて朝ごはんを食べます。そして、夕方の6時過ぎの日が沈むまでの間、飲食一切禁止です。中にはつばも飲み込んではいけないと考えている人もいるほどです。それが一ヶ月間続きますので、そのラマダンの間は、極力体力を使わないように毎日静かに過ぎています。そのラマダンが来月スタートします。日本人がラマダンをしないとしても、とても気を使いながら生活をしないといけません。ラマダン中に水をゴクゴク飲むとこを見せつけられたら、いい思いをしませんから。
BLKに来て初めてのラマダンですので、それに応じた授業計画も検討する必要があると思います。このラマダンも日野さんと相談し合いながら乗り切りたいと思います。