上田浩之のインドネシア奮闘記ブログ

インドネシア スラウェシ島 バンタエン という周りに日本人がいない地で生徒17人への自動車専門技術、ソフトスキルの教育を行い日本でも通用する自動車エンジニアに育つまでを綴ったブログ

問題ばかりの学校

みなさんがご承知のとおり、現在はインドネシアのバンタエン県にある、BLK Bantaengでの自動車課のインストラクターをしています。
簡単にこの学校の事を紹介します。
BLKとはBalai latihan kerja (バライ ラティハン クルジャ)の略で直訳すると職業訓練センターという意味になります。
このBLKはインドネシア国内で279校あるそうですが、まだまだ地名度が低くインドネシアの友達に聞いても知らない人がほとんどでした。
このBLKは職業訓練センターなので、いくつもの専門コースがあります。現在私が通っている学校では、自動車、オートバイ、食品加工、観光、英語、中国語、IT、溶接、などの訓練コースがあります。
ここは開校して間もないので、動いている課が少ないのですが、他の学校では工業コース、裁縫、電気技術など、まだまだたくさんのコースを学ぶ事ができる学校になります。
日本の職業訓練センターと同じと考えてもいいくらいです。ただ、学べる期間がほぼ全ての課で3カ月コースになっています。
もちろん自動車課も同じで、全てのBLKでは3カ月コースになっています。日本での自動車専門学校では、2年コースになるのでそれに比べるととても短い印象を受けると思います。
もちろん実際に学べる時間が少ないので、教える内容も車の基本的なところの内容になるので、就職してもすぐに働くというのは難しくあるディラーでは最低でも6カ月間のOJT(on the job training)を行って、
ようやく整備士としての仕事をすることができるそうです。

今回そのBLKの中で初めて自動車課で2年コースを設立する事になりました。初めての取り組みなので、バンタエン県やインドネシア労働省、自動車ディーラー、愛媛県、JICA、などたくさんの方々から注目をあびているプロジェクトになります。この2年間が成功すれば、他のBLKにも自動車課の2年コースが新設されるかもしれませんし、成功しなければもしかしたら継続するのは難しくなるかもしれません。
そうゆうプレッシャーもありとてもやりがいの仕事だと感じています。

私は4年前に、インドネシアのディーラーで6カ月間技術指導を行った事があります。ここがインドネシアだからなのか、私が日本人だからなのか、なぜなんだろうかという思う事がとてもたくさんありました。
みなさんも聞いた事があると思いますが、インドネシア人は時間を守らない人がとても多い国です。プライベートであれば、集合時間に1時間、2時間遅れてくるのは当たり前。仕事でも8時朝礼であれば、8時過ぎてからバラバラ集まってくる状態。これがインドネシアでは当たり前なのかもしれませんが、やはり会社での規則がある以上はきちんとルールを守る必要があると思います。会社からルールがなくなるとどうなるでしょう。みんな好きな時間に出勤して、好きな時間に帰る。仕事もだいたいで終わらせればよい。そうなると、お客様からお金を頂く事もできません。待ち合わせにしても、やはり相手の事を考えてきちっと時間を守るというのは礼儀だと思います。インドネシアでは両方遅れてくるので、日本の感覚は通用しないとは思いますが。日本では子供の頃からきちんと時間を守らないといけないという事は言われ続けてきました。それが習慣になっているので、時間に遅れそうになるとソワソワしてしまいます。私自身も寝坊して会社に遅刻しそうになる時には、パニックになるくらい焦ってしまう事があります。でも、インドネシア人はそうではありません。会社に遅刻してもゆっくり歩いて来て朝礼に参加する。これは小さい頃からの教育が違うからだと思います。

今回は教育分野という事で、とても光栄な仕事をさせて頂く事になりました。
BLK Bantantaegの開校式からそんなに日にちが経っていないにも関わらず、校内にはすでにプラスチックのケース、ナイロン袋、タバコの吸殻などのゴミが校内に数多く落ちてました。
しかも、先生も生徒も好きなところでタバコを吸って、好きなところでポイポイ捨てます。この人達は学校をごみ箱と勘違いしているのだろうか?と思う程です。
捨てている本人達はなんにも、思っていないのだろうか?こんなに疑問を持つのは日本人の私だけなのだろうか? 学校の朝礼では毎朝規律が大事だと言っている、先生達がタバコをポイ捨てをしている。
これでどうやって教育ができるのだろうか? 私が生徒だったら規律正しく行動をしろといっている先生がポイ捨てをし、時間を守らないのになんで守らないといけないの?ときっと疑問を持つ。
先生達の意識を変えていくのは難しいが、自分が受け持つ生徒達なら少しずつでも変えていく事ができるはず。時間はかかると思うが少しずつきれいな学校にしていきたいと思う。

2年間私は自動車課を受け持つ事になりました。2年間の授業計画の作成、授業資料の作成、自動車全般の学科と実技教育、日本語教育、ソフトスキルの指導。このソフトスキルというのは、考え方やマネージメントの事で、5S、改善、PDCA、リーダーシップなどのソフト面の指導を行っていく為の授業です。もちろんこのような授業は初めての試みですので、今後どのように生徒達が成長をしていくのかとても楽しみです。

それぞれの授業も始まりました。日本語、ソフトスキル、自動車の基本的な構造の授業をスタートしました。毎朝の全体朝礼の後では毎朝生徒全員で5分間の掃除をスタートさせました。
これは生徒だけではなく、先生、従業員も全員一斉に掃除をするようにしています。 毎日少しでも掃除をして習慣にさせるのが目的です。自分が捨てたゴミを自分が掃除する事になる。となると、ゴミを捨てなければいいのではないか?と少しでも考えると思い毎朝実践しています。7月20日の自動車課開校以来、毎日続けています。約1ヶ月間続けた結果、少しずつではありますが、綺麗になってきています。
そして、我が自動車課の生徒は登校中にゴミがあれば拾ってゴミを捨てるようにもなりました。ゴミを捨てていた人達がゴミを拾うようになってきているんです。しかも、自主的に。
今はまだ少人数ですが少しずつそのような人達が増えて、インドネシアで1番自主的にゴミを拾う生徒、職員が多い学校になる事を目指します。

学校がスタートして約1ヶ月間が過ぎようとしています。仕事の中で思った通りになる事はほとんどないです。いつもトラブルばかりです、やはりインドネシアですから。
それを、一つずつ、誠心誠意をもって取り組む事で、問題だったものが逆に成長するチャンスになったり、人との絆がより強いものになるのだと思います。

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